Beyond being there

“Beyond Being There” (CHI 1992)

対面環境の再現ではなくその先を目指すべきと主張。当時できていることを元に組みたれられた思想・展望・仮説が提示されている。

自分が考えたり実装してきたことのベースとなる思想が書かれていて感動している

現在の取り組みは、音声/ビデオリンクを通じて対面のやり取りを模倣し、「そこにいる」感覚を作り出すことに焦点を当てています。しかし、これでは遠隔参加者が不利になります。

問題を本当に解決するには、対面が選択肢にある場合でも使用したいと思うようなテレコミュニケーションツールが必要です。これには「そこにいること」を超える必要があります。

著者は、コミュニケーションをニーズ、メディア、メカニズムの観点から捉えることを提案しています。目標は、物理的な近接によって十分に満たされていないニーズを特定し、新しいメディアの強みを活用してそのニーズを対面以上に満たすことです。

著者は、対面の模倣を追求することは常に制限されると主張しています。ニーズに焦点を当て、新しいメディアの独自の特徴を活用することは、対面よりも好まれるツールを生み出す可能性が高いと述べています。

要するに、この論文は、対面コミュニケーションの模倣から、ニーズを特定し、新しいメディアのメカニズムを作成してそのニーズを物理的な近接よりも良く満たすことへのシフトを提唱しています。この再構築により、「そこにいること」を超えるツールを想像することが可能になります。

以下に我々の議論を要約します：

一般的なテレコミュニケーションの問題は、物理的に離れていても、近くにいる時と同じ豊かで多様な相互作用を提供するシステムを作ることにあるようです。

現在の多くの取り組みは、遠隔地間に音声やビデオチャネルを設けることで、「そこにいる」感覚を作り出そうとしています。

物理的な近接を模倣することで、遠隔地にいる人々を物理的に近接したコミュニティに取り込もうとするシステムは、常に後者を不利な立場に置くことになります。これはシステムの品質の問題ではなく、達成しようとしていることの問題です。

テレコミュニケーションの問題を解決するためには、対面でのやり取りが可能な場合でも使用したいと思われるツールを開発する必要があります。そのためには、「そこにいること」を超えるツールが必要です。

そのようなツールを作成するためには、問題をニーズ、メディア、メカニズムの観点から捉えることを提案します。目標は、物理的な近接の媒体では理想的に満たされないニーズを特定し、新しい媒体の強みを活用してそのニーズを満たすメカニズムを進化させることです。

結論として、この論文の冒頭に引用した言葉に戻ります。少なくとも1898年以来、新しい技術が遠くにいる人と近くにいる人と同じように相互作用できる未来のビジョンがありました。我々はそのビジョンを共有しますが、それを達成する最良の方法においてストランドの引用とは異なります。我々の未来の見通しでは、廃止されるのは距離そのものではなく、現在の「そこにいる」という概念です。